丸めるか、丸めないか
たとえば、50円のものに消費税が 5% つくと多くの場合小数点以下を四捨五入して 53円になると思う。別個に50円のものを二つ買えば、53円が二つなので合計で 106円。二つ合わせて同時に買えば 100円に対する 5%の消費税がついて 105円となって、一円得。
給料が200円だとすると、雇用保険の被保険者負担分(て言うのかな)は 0.6% なので 1.2円、小数点以下を丸めて1円となるから、(源泉徴収分や社会保険の被保険者負担分を考慮に入れないとすると)給料の支給額の下3桁は 199円となる。
で、これを EXCEL で計算しているときなんかに、セルの書式で小数点以下を表示しない設定でそのままの式を書いちゃったりする人がいる(というか実際にいた!)。表を見ただけでは問題はないようだけど、支給額や、雇用保険の合計を計算するとつじつまが合わなくなったりして、理由が分からずやっかいなことになる可能性がある。
先の200円の給料をもらっている従業員が三人いたとすると、各自それぞれ雇用保険に 1円支払って、給料として199円もらうことになる。合計すると雇用保険が 3円で、支給額が 597円。なんだけど、小数点以下の丸め処理を実際にせずに表示桁数の設定だけでごまかしていると、雇用保険の合計欄は 1.2 * 3 → 3.6 が表示時に四捨五入されて 4円、給与支給額の合計欄は (200 - 1.2) * 3 → 596.4 で四捨五入されて 596 円となり、どちらも実際の値とは違ってくる。また、この場合は雇用保険と支給額の合計は正しいけど、場合によってはそれさえも間違ってしまう場合がある。
という話しをしていて(前置きが長いな)、「だから、小数点以下はちゃんと正しい方法で丸めなあかんで」と言ったところ相手の反応が「『丸める』ってなに?」だったのだ。
「丸める」いうたら端数を丸めることやんか、と言ってもなんだかピンと来ないようすで、常識のないやつやなとか思っていたわけなのだけど。で、今日事務所で「丸める」って分かるかどうかを聞いてみたら……みんな知らないとか言ってくれちゃったりなんかしてなんかして。このみんなというのは、うちの事務所で経理含めて事務全般をこなしてくれている 20代と 40代の女性だけでなく、月に一度来てくれる税理士の先生(60歳くらい)とその同僚の方(30前くらいかな) の四人。
自分がいつから端数の処理のことを「丸める」と言うようになったか覚えてはいないけど、もうずっと普通に使っていたので、これは軽くショックを覚えてしまった。
ちなみに Wikipedia.jp には「端数処理」という項目があり、ここには『このページの名前に関して「丸め」への改名が提案されています。』と書かれていて、これだけ見ると一般的な言葉のように思える。
余談ながら、この Wikipedia.jp のページで「丸めは任意の丸め幅に対し可能だが、以下では特にことわらない限り、丸め幅を1とする。任意の丸め幅で丸めるには、丸める前に丸め幅で割り、丸めた後に丸め幅をかければいい。」というの記述があるが、これを音読すると「まるめ」の連発でなんとなく可笑しい。
それはともかく、「丸める」って普通に使うと思うのだけど、そんなに一般的ではないのかなぁ。理系用語というわけではないと思うけど。「ネグる」とか「サチる」とかの理系っぽい表現が普通には通用しないことくらいは分かっているけど、まさか「丸める」でひっかかるとは思いもしなかった。
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